Column
点検整備の料金は、工場に貼るだけでは足りない場合があります。 省令に「自ら管理するウェブサイトに掲載して公衆の閲覧に供すること」と書かれています。 どの工場が対象で、どこが除外なのかを、条文に当たって整理しました。
根拠は道路運送車両法第91条の3と、その省令です。
道路運送車両法第91条の3は、自動車特定整備事業者が 「自動車特定整備事業の業務の適正な運営を確保するために国土交通省令で定める事項を遵守しなければならない」と定めています。 その省令が道路運送車両法施行規則 第62条の2の2です。第1項第1号を、そのまま引きます。
法第48条に規定する点検又は整備の作業を行う事業場にあつては、当該作業に係る料金について、 当該事業場において依頼者の見やすいように掲示するとともに、次のいずれかに該当する場合を除き、 自ら管理するウェブサイトに掲載して公衆の閲覧に供すること。
イ 自動車特定整備事業に常時使用する従業員の数が五人以下である場合
ロ 自ら管理するウェブサイトを有していない場合
法第48条は定期点検整備の条文です。つまりここでいう料金は、定期点検整備の作業に係る料金を指します。
「掲示」と「ウェブ掲載」で、範囲が違います。
| 事業場での掲示 | ウェブサイトへの掲載 | |
|---|---|---|
| 対象 | 定期点検整備の作業を行う事業場すべて | 同左のうち、従業員6人以上かつ自社サイトがあるところ |
| 除外 | — | イ 常時使用する従業員が5人以下 ロ 自ら管理するウェブサイトを有していない |
| やり方 | 依頼者の見やすいように掲示 | 掲載して公衆の閲覧に供する |
条文の除外ロは「自ら管理するウェブサイトを有していない場合」です。 つまりサイトを持っていなければ、ウェブ掲載の義務は生じません。 逆に言えば、サイトを作ると(従業員6人以上なら)料金の掲載が必要になります。
当社はホームページ作成サービスを運営していますが、 「ホームページを作れば義務が果たせる」という話ではありません。事実はその逆です。 そのうえで、料金を載せることは商売としてむしろ有利だというのが当社の考えです。理由は下に書きます。
同じ条文の第2号です。こちらは全事業場が対象です。
法第48条に規定する点検又は整備の作業を行う事業場にあつては、当該作業の依頼者に対し、 必要となると認められる整備の内容及び当該整備の必要性について説明し、料金の概算見積りを記載した書面を交付し、 又はこれを記録した電磁的記録を提供すること。
依頼者に対し、行つていない点検若しくは整備の料金を請求し、 又は依頼されない点検若しくは整備を不当に行い、その料金を請求しないこと。
当たり前のことですが、省令に明記されています。 「ついでにやっておきました」が、依頼されていないものだと問題になり得ます。 第2号の見積りと説明がきちんとできていれば、ここは自然に守られます。
なお同じ第62条の2の2には、保安基準に適合しなくなる改造を行わないこと(第4号)、 エーミング作業が適切に実施されるよう必要な措置を講ずること(第6号)、 カーエアコンのフロン類をみだりに大気中に放出しないこと(第6号の2)、 OBD検査のシステムに正確な情報を記録すること(第6号の4)なども並んでいます。
載せ方そのものは決められていません。だからこそ差がつきます。
「値段を出すと安いところに流れる」と考える方がいます。 しかし価格が書いていないと、そもそも候補に残りません。 法定費用と技術料を分けて書けば、「安く見えるが整備が入っていない見積り」との違いも説明できます。 義務として渋々やるより、説明の材料として使うほうが得だというのが当社の見方です。
条文上は、常時使用する従業員が5人以下の場合はウェブ掲載の対象から除かれます(第62条の2の2第1項第1号イ)。ただし事業場での掲示は人数に関係なく必要です。
ウェブ掲載については、「自ら管理するウェブサイトを有していない場合」は除外と書かれています(同号ロ)。掲示と、見積書の交付(第2号)は変わらず必要です。
条文は「自ら管理するウェブサイト」としています。該当するかどうかは個別の判断になりますので、管轄の運輸支局にご確認ください。このページでは断定しません。
第2号は「料金の概算見積りを記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供すること」と定めています。口頭だけでは足りません。PDFやメールなどの電磁的記録でも構いません。
第1号は「法第48条に規定する点検又は整備の作業に係る料金」としています。法第48条は定期点検整備の条文です。具体的な載せ方は決められていないので、分かりやすさで工夫する余地があります。
第62条の2の2は自動車特定整備事業者の遵守事項(道路運送車両法第91条の3)です。遵守事項に違反した場合の取扱いについては、管轄の運輸支局にご確認ください。このページでは処分の内容まで断定しません。
出典:e-Gov 法令検索「道路運送車両法施行規則(昭和26年運輸省令第74号)」第62条の2の2第1項第1号〜第3号、 「道路運送車両法」第91条の3・第48条。 2026年10月18日に確認しました。 条文は改正されます。また「常時使用する従業員の数」の数え方や「自ら管理するウェブサイト」の範囲など、 個別の判断が必要な部分があります。実際の対応は必ず管轄の運輸支局にご確認ください。
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